参画理論
当法人は、独自に構築した「参画理論」をベースに諸活動を行っている。なお、参画型の教育は計画的・段階的に進めることができる。そのためには、参加の観点から、参加者の主体性はどのような段階を経て成長していくかを知る必要がある。
まず、参加者の第1段階を「参集」と呼び、この段階では、個人としてその場に「いあわす」だけで、消極的・局所的な参加に留まっている。次に、第2段階を「参与」と呼び、第1段階の個人的な行動の枠を破って、小集団の他者と積極的に「かかわる」段階と位置付けることができる。
そして、学習者の主体性が十分発揮された第3段階を「参画」と呼ぶ。この段階では、その場の企画を立案し、それを実施して責任を持って自己評価する。こうして、参加者がその場を「担う」ことになり、この段階に達してはじめて、誰かの「お膳立て」から自立することができるのである。「参画とはその場の全体状況を共有しながら、計画段階から実践・評価・伝承に至るまでかかわることで、場づくりそのものを直接担う活動に参加すること」となる。
ラベルワーク®
知識基盤社会において最も重要な力のひとつとして知識創造力を挙げることができるが、ラベルワークもそのツールの一つとして捉えることができる。ここでいう「ラベル」とは、ある目的意識(テーマ意識)を持って観念化されたひとまとまりの知識の内容を、文章で小紙片に表記したものである。
ラベルワークの系譜は著名な文化人類学者である故・川喜田二郎氏によって考案されたKJ法に辿ることができる。周知の通りKJ法は情報収集や課題解決のための手法として極めて完成度が高く、学術界及びビジネス界で広く普及している。その他にもラベルを用いて図解を製作する手法は多数考案されている。
しかし、現場においては非生産的・非効率的な自己流のラベル図解法が多く見受けられるのも事実だ。そこで、参画文化研究会はこれらのラベルを用いる思考技術の一般理論化(ラベルワーク理論)を行った。なお、当研究会は平成18年、ラベルワークを商標として特許庁に申請し、認定されている。
体系的なラベルワークを行うには、その理論的裏付けを理解し、実践を繰り返すことが重要であることは言うまでもない。しかし、強いて簡潔に解説すると、ラベルワークでは、まず自分の意見や考えを1枚のラベルに書くことからはじめる。次に、このラベルをチームで交換して黙読する。
その後、意見の交換を行うと、必ず討論が活性化される。そして、チームの議論の成果の中で、全体で共有すべきトピックを絞り込み、それらを全体の前で報告し、全員で話し合う。また、その際、オーディエンスもコメントすることで、より一層議論が深まることになるのである。
当法人では、参画型の教育やコミュニティ形成を円滑に行う手段のひとつとして、ラベルワークのノウハウを長年普及・促進し続けてきた。
主な事業内容
高等教育機関(大学・高校など)
- 大学教員の教育能力向上(FD)に関するコンサルタント、及びワークショップの開催
- 参画型教育の開発、導入、実践に関するコンサルタント
- 参画型教育に関する他大学、及び他研究会との共同研究
- 上記のコンサルタント、ワークショップ、研究を総括する論文の発表
地域・まちづくり
- 高齢者の社会参加支援に関するワークショップの開催
- 高齢者クラブの活動支援
- 住民参加型のまちづくり、コミュニティ形成に関するワークショップ
医療・福祉
- 患者が主体となり、看護師や医師と共に治療を進める医療環境構築へのコンサルタント
- 医療や看護の現場では、病状や施設のレベルなどに応じて看護師や医師が臨機応変に対応する必要があり、
教育現場以上に「オーダーメイド」が要求され参画型教育との親和性が高いと評価されている。
海外の教育現場におけるラベルワークの活用
- 日本語教育におけるラベルワーク活用の試み
- 韓国の教育機関におけるFD